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    変化するラッパーのファッション

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    現代のラッパーたちはファッション界における成り上がり者でもなければ、頭からつま先までグッチのモノグラムで統一するなんてこともしない。

    もちろん“ブリンブリン”が完全にこの世から消え去ったわけではないが、エイサップ・ロッキーはラフ・シモンズやリック・オウエンスを身に纏うことをラップで表現し、ジェイ・Zもまた自身の歌詞の中でメゾン・マルタン・マルジェラについて触れている。

    彼らは気づいてほしいのだ。

     

    ラッパーのファッションの変化


     

    今やラッパーたちのユニフォームといえば、レザージャケット(とくにリック・オウエンスのものが多い)にスキニージーンズ(バルマンが人気だ)、そしてデザイナーズブランドのスニーカーなのだから。

    アッシャーはあるPVの中でポリス・ビジャン・サベリの黒いレザージャケットを身に着けているが、これは彼らの感度の高さを示す好例だといえるだろう。

    Boris-Bidjan-Saberi
    ポリス・ビジャン・サベリ

     

    カニエ・ウェストの存在


     

    ディオールオムがここ10年のメンズウェア界の王者的存在であるとすると、ジバンシーの売り上げを伸ばして次なるブランドに仕立てるという重要な役目は、カニエ・ウエストに託されているといえるだろう。なにしろ彼はステージで何度もこのブランドの服を着ているのだから。

    Kanye-West-Stage
    ジバンシーを着るカニエ・ウェスト

    あるショップ関係者がジバンシーのTシャツはすぐに在庫切れしてしまうのだと私に漏らしたことがある。若い世代に大人気となってしまったため、今やジバンシィはランウェイで見せるTシャツのうち何点かしかセレクトショップに卸せなくなっているのだそうだ。

    ストリートウェアとデザイナーズブランドの境界線が消え、西洋文化が広まり、中国が急速に富裕化したことが、こうした現象の要因であることに疑いの余地はない。キッズたちが欲しがるのはジーンズやスニーカーだということに変わりはないが、今やその作り手はハイファッションブランドであり、値段も高騰している。

    エイサップ・ロッキーの友人でスタイリストのチェット・ディロンが私にこう話してくれた。

    「ストリートのファッションは今でも同じだよ。ナイキのエアフォース1とヌーディーだったものが、リック・オウエンスのハイカットスニーカーとダークシャドウのジーンズになったっていうだけなんだから」。

    さらにインターネットが光の速さで情報を伝達するようになると、北京のキッズがニューヨークのキッズと同じものを欲しがるようになったのである。

     

    ラッパーが“ラグジュアリー”を着るということ


     

    とはいえ、この現象は高級ブランドにある難題をもたらした。ブランド自体が持つ上品なイメージとストリートとのバランスを取る必要に迫られたのだ。ジバンシーが「ハイプビースト」や「コンプレックス・マガジン」をお手本にしているティーンエイジャーに700ドルのTシャツを売りつけていることが知れたら、女性顧客の足が遠のいてしまうかもしれない。

    「ミスター・ポーター」のように進取の気性に富んだビジネスを行う者たちが留意しているのは、まさにその点なのだ。昨年、この「ミスター・ポーター」はサイト上でエイサップ・ロッキーの写真を販売し、アン・ドゥムルメステールやマルタン・マルジェラといったブランドのモデルにラッパーたちを起用した。

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    MR.PORTERのモデルに起用されたエイサップ・ロッキー

    ここで注目すべきは、ラッパーたちがスタイルアイコンになり得たということではない。彼らがゴシック的美しさという、典型的な金持ちの消費者たちなら好まないであろう要素にぴたりとハマり、そこに内在する想いを的確に映し出していることが驚きだったのだ。